「はやて」は、既述の通り東北新幹線の盛岡−八戸間が開業するにあたり、JR東日本が全国に公募した新愛称の中から選定され決定したものです。
ただし、1位ではありませんでした。1位は「みちのく」、2位は「うみねこ」で、「はやて」は19位(301通)でした。
『スピード感があり斬新で親しみやすい』というのが採用の理由になっています。
ところで、「はやて」は漢字表記すると「疾風」となりますが、この「疾風」は、実は昭和4年に特急列車に初めて愛称を付ける際に、当時の国鉄が公募した中で10位にランクインしたものです。
その当時から数えると実に73年ぶりの採用となります。(この時採用されたのは1位の「富士」と3位の「さくら」)
そして、さらに昭和39年の東海道新幹線開業による愛称公募の際も、「はやて」(この時はひらがな表記)は4位にランクインしていました。東海道新幹線に採用されたのは皆さんご存知の「ひかり(1位)」と「こだま(10位)」です。
このように何度も公募の際は上位にランクインしながらも採用が見送られてきたのは、「疾風」が『かかるとすぐに死ぬ』というところから疫痢の異称とされた時代があったため、速さを表現するような名前でありながらも敬遠され、今まで列車愛称になったことがなかったのでしょう。
今回、疫痢も予防医学の発達により衰退し、疫痢を「疾風」と呼ぶような風習もなくなったため晴れて採用となったと思われます。
ちなみに、八戸駅で接続する東北本線の特急の愛称も新幹線と同時募集され、八戸−函館間の特急は「白鳥(11位)」、さらに八戸−青森−弘前を結ぶ特急には「つがる(2位)」が選ばれました。
当初、八戸と弘前を結ぶ特急の設定は考えられていなかったため、募集時には八戸−函館間の特急の愛称のみが対象になっていました。
ところが、募集期間終了後に弘前までの特急運転が決まったため、八戸−函館間を結ぶ特急の愛称として応募された中から選定されました。(ちなみに1位は「海峡」でした)
また、JR北海道が新造車両(789形)による特急八戸乗り入れを決めたため、「白鳥」に加え「スーパー白鳥」も走ることになりました。
これにより、東北新幹線八戸開業まで盛岡−八戸−青森−函館間を結んでいた特急「はつかり」と、青森−函館間を結んでいた快速「海峡」の愛称は封印されることとなりました。
「はつかり」は、昭和33年に東北本線に初めて登場した特急列車の愛称として使用されて以来の歴史のあるものでした。(当時は上野−青森間、常磐線経由)
また、同時に上野−青森間を結んでいた寝台特急「はくつる」も廃止となりました。
余談ですが、「白鳥」も「つがる」も、以前別の区間を走る列車の愛称として使用されていたものの復活です。
「白鳥」は昭和36年から大阪−青森間を結ぶ特急につけられたもの、「つがる」は「津軽」として上野−青森間の奥羽本線経由の夜行急行につけられていたものでした。
東北新幹線の愛称公募で1位となった「みちのく」も急行列車の愛称でありましたし、2位の「うみねこ」も快速列車の愛称として使用されていました。
人気のある名はいつでも人気があり復活もありうるという中、全く初めての採用となった「はやて」は、これからどのような道を歩んでいくのでしょうか。